オンボーディングのスクリーニングは、決まった場所で失敗します。そしてそのほぼ全ては、スクリーニングそのものではなく周りで起きます。誰も確認していない身元に対して照合が走る時、三つのデータ情報源が三つのレビュー列を作る時、リスク格付けが記録されず暗黙になる時、承認された顧客がモニタリングに登録されず、登録した日の一度だけ確認されたきりになる時、失敗が起きます。
各段階が次に何を渡すか
上の図は順序と判断者を示しています。運用で重要なのは、各段階が何を次の段階へ渡すかです。誤った成果物を作る段階は、自分で失敗するのではなく、後続の段階を壊します。
| 段階 | 生み出すもの | それがない場合に壊れるもの |
|---|---|---|
| 収集 | 氏名、生年月日、管轄区域、法人情報 | 不完全な身元に照合するため、候補を解消できない |
| 確認 | 確定した身元、または不受理となった申込 | それ以降の結果が顧客ではなく文字列を記述する |
| スクリーニング | 問題なし、または一致の候補が一件以上 | 解消すべき対象がなく、確認した記録も残らない |
| 一致の解消 | 解消、エスカレーション、一致の確定 | 証拠のないまま、承認する誰かが判断を引き受ける |
| 格付けと意思決定 | 承認・エスカレーション・不承認と、記録された格付け | モニタリングが適用すべきリスク帯がなく、全員が同一扱いになる |
| 引き継ぎ | 継続的に確認され続ける顧客 | 統制が一度きりの関門となり、名簿が音もなく老朽化する |
確認がスクリーニングより前である理由
申込が入力した名前を照合しても、得られるのは人物ではなく文字列に関する結果です。申込者が誰かを騙っているなら、問題なしという結果は害になります。確認されていない人物について、文書化された誤った確証をファイルに置いてしまうためです。
先に確認すれば、以降の結果はすべて確定した身元に紐づきます。確認済みの属性、たとえば生年月日や管轄区域こそ、アナリストが誤検知を速く解消するために必要な情報なので、一致の件数も減ります。
コストは一致の解消にあります
候補の大半は誤検知で、通常はリスト掲載の人物と姓を共有するよくある名前です。スクリーニングの段階は速く安価です。解消はそうはいきません。識別子を人が比較し、結論に至った理由を記録する必要があるためです。
カバー範囲を減らさずにこのコストを下げる要素は三つあります。ベンダー既定値ではなく自社のリスク許容度に合わせた照合の閾値、解消済みの一致が後続のスキャンで再出現しないようホワイトリスト化、そしてレビュー画面で確認済みの身元情報を参照でき、候補を数秒で解消できることです。
誰も監査しない引き継ぎ
承認をもって終了だと感じられるため、継続的モニタリング への登録は最も暗黙にされがちです。暗黙にすると、やがて行われなくなり、誰も気付きません。目立って失敗するものがないためです。名簿はただ、各顧客が登録した日に一度ずつ確認された状態で老朽していきます。
登録を独自の記録を持つ明示的な段階にすることが、オンボーディングのスクリーニングを関門から統制に変えます。制裁リストは常に変化し、顧客側の行動も自社製品を通す取引もなくして、顧客の状態が変わり得ます。
他のワークフローとの位置関係
オンボーディングは最初のワークフローであって、プログラム全体ではありません。厳格な顧客管理はこの流れがエスカレーションした案件を扱い、継続的モニタリングは六段目の後のすべてを扱います。三段目のエンジンとデータについては PEP・制裁スクリーニング、ネガティブ情報スクリーニング、本人確認 を、エスカレーション後の流れは 厳格な顧客管理(EDD) を参照してください。
